一口に「豪雨による災害」と言っても、その種類はさまざまです。川の氾濫や土石流、がけ崩れ、地すべりなどの土砂災害のほか、特に宅地などの開発が進んだ都市部では、川の急激な増水、道路や住宅の浸水、アンダーパス(※)や地下空間の水没といった被害も発生しています。また、雨で増水した川や田んぼを見に行って流されてしまったり、浸水した道路で側溝の境界が見えにくいために転落したりする事故が発生するおそれもあります。
(※)アンダーパス:立体交差する道路で路面の高さが前後と比べて低くなっている道
大雨の危険が近づいているというニュースや気象情報を見たり聞いたりしたら、大雨が降る前、風が強くなる前に、家の外と中の備えをもう一度確認しましょう。
テレビ、ラジオ、インターネットなどを利用して、天気予報で「大気の状態が不安定」「天気が急変するおそれ」「所によって雷を伴い」といった情報・予報がないかどうかを確認します。さらに高精度の雨量観測データをほぼリアルタイムで配信する「XRAIN」や気象庁「高解像度降水ナウキャスト」などのウェブツールやアプリを活用し、局地的大雨の情報をキャッチすることも大切です。
外出中で、携帯電話を利用できない場合には、空の変化に注意を払い、天気の急変に備えましょう。例えば、真っ黒い雲が近づいて周囲が急に暗くなる、雷鳴が聞こえたり雷光が見える、冷たい風が吹きはじめる、大粒の雨やひょうが降りはじめるなどの変化は、発達した積乱雲が近づく兆しなので、注意が必要です。
大雨のときには身の回りのどのような場所に危険性が潜んでいるのかを、国や自治体などが公表している洪水ハザードマップ、土砂災害危険箇所マップなどで、あらかじめ確認しておきます。避難経路の途中に氾濫する可能性のある河川や、浸水する可能性のあるくぼ地などがないか。もしもそうした場所があったら、他にどのような経路を通ってどこに避難すべきかなどをチェックし、実際に歩いてみて、周囲の安全を確認しておきましょう。
危険を感じたり、市区町村長からの避難指示があった場合は、あわてず速やかに避難するようにしましょう。自動車での避難は、水に浸かると動かなくなったり、水圧で扉が開かなくなったりして大変危険なので、特別な場合を除きやめておいた方が安全です。避難の前には、必ず火の始末をし、持ち物は最小限にして背中に背負うなど、両手が自由に使えるようにしておきます。また長靴は、長靴の高さより水位があると、水が入ってきて重たくなってしまうので、ひも付き運動靴などの脱げにくいもので避難するようにしましょう。
冠水した道路を歩くことは、水深が浅くても、ふたの外れたマンホールや側溝などが見えなくなり転落するおそれがあるため非常に危険です。避難場所への移動は浸水が始まる前に行うことが基本です。避難指示が発令されたり、発令前でも危険が高まったと判断したら、ためらわずに避難を始めましょう。やむを得ず水の中を移動する場合は、傘や棒などで足下を確認しながら移動しましょう。
地下室や半地下家屋は冠水しやすく、水圧でドアが開かなくなって逃げ遅れる危険があるので、速やかに地上へ避難します。また、建物の倒壊の危険がなく、周囲が浸水した場合には、避難所に避難するよりも、自宅の2階以上や付近のビルに避難する方が安全なときもあります。周辺の状況を確認して避難しましょう。
局地的な集中豪雨が発生すると、河川や用水路には水があふれ、激しい水の流れができることがあります。さらに、橋が壊れたり流されたりする可能性があるため、非常に危険です。風雨が激しくなるなか、川や用水路を見に行くのは絶対にやめましょう。また、道路のアンダーパス(※)や歩行用の地下道路、地下街など、地面より低い空間は冠水の危険性があるので、通らないようにしましょう。
(※)アンダーパス:立体交差する道路で路面の高さが前後と比べて低くなっている道